琉歌集|御縁節・つなぎ節
御縁節|ごえんぶし
御縁あて弟ぎやいきやて嬉しさやうちはれて遊べわぬも遊ば
別れ別れになっていた弟達が、姉妹の縁があって今日、みんなと会ったのは大変嬉しい。
皆遠慮無く遊んで欲しい。私も羽目を外して遊ぼう。
御縁:ごえん
弟ぎや:おとぎや
仲良く暮らしていた兄弟も、成長と共に皆離れて容易に会うことが難しくなりやすい。
次第に疎遠になり、会うことも稀になる。遠い親戚より近くの他人とも言われますが、いざというときは兄弟が最後の頼みになるものです。
つなぎ節
あたり苧やうみやりはたえん布織やり玉黄金里が御衣よすらね
苧:からむし
あたり苧:屋敷内の畑に植えてある芭蕉からとった糸。
うみやり:芭蕉の糸を裂いたり繋いだりすること。
はたえん布:布地の一番密な上等な布。
屋敷の中の畑に植えた芭蕉からとった糸を細く繋いで二十読(はたよみ)の上等の布を織って、我が背の君の着物を作ってあげたい。
大切な夫の為に上等な布を織って着物を作り、作る過程の苦労を知って着る夫も、妻を有り難く思いお互いの愛情や絆も一層深くなるものです。
浪曲「壷坂霊験記」にもある台詞「妻は夫を労りつ 夫は妻に慕いつつ 」の様です。
盲目の夫を支えていた妻。妻の献身的な姿に感謝していた夫。夫婦の幸せは互いの為にあるものですね。